相続お役立ち情報

遺産分割協議書の署名

2023.04.10

相続人同士で行う遺産分割は話し合いをした上で、最終的に全員が合意をして遺産分割協議書という書類を作成します。遺産分割協議書が完成することで「遺産分割協議が終わった」ということになります。

この”遺産分割協議書”は、その後不動産の名義変更といった相続の手続きを進める際にも提出が求められますので、必要不可欠な書類となります。

遺産分割協議書は、簡単に申し上げると「誰が、何を相続するか決まりましたよ」という意味をもつ書類ですので、相続人全員が署名をし、実印で捺印をします。

遺産分割協議書は相続人全員の合意が必要ですので誰か一人でも相続人の署名・捺印が漏れていると成立しません。

反対に署名捺印後に、後々から「やっぱりやり直したい」と思っても遺産分割協議書を取り消すことは困難となりますので、「署名・捺印」をする場合には責任をもって慎重に行う事が重要です。

遺産分割協議書を無効にできる ケース

遺産分割協議書に署名押印した後になって、その遺産分割協議は無効だから再度やり直したいというご相談を受けることが時々あります。一旦成立した遺産分割協議も、次のような場合は無効となり、協議をやり直す必要があります。

(1)共同相続人の一部を除外して行われた遺産分割協議

亡父の妻とその子どもたちで遺産分割協議書を作成したが、後から広島に亡父の婚外子がいたことが判明したというような場合です。

(2)精神上の障害により判断能力のない相続人が加わって行われた遺産分割協議

本人に判断能力がなく、法律行為を適切に行うためには成年後見人を選任する必要があるのに、そのような手続をとらずに判断能力のない者との間で行われた遺産分割協議も無効です。

(3)遺産分割の意思表示に錯誤があったとき

遺産分割の重要な事実について誤解があった場合には、錯誤による無効が認められる場合があります。遺産分割協議が無効だというご相談でもっとも多いのが、上記(3)の事例の場合だと思います。

錯誤による無効の主張というのは、たとえば、広島在住の共同相続人である兄から妹が「悪いようにはしないからこれにハンコを押せ」と言われ、極端な不平等はないと信じて内容も確認しないまま署名押印してしまったとか、「財産はこれですべてだからお前の取り分はこれだけだ」などと言われて遺産分割協議書に署名押印したが、後になってもっと多額の財産があることがわかった、といったものです。

遺産分割協議にも民法の意思表示に関する定めが適用されます。したがって、重要な事実について思い違いがあったという場合には、錯誤による無効を主張することが可能ということになります。

しかし、実際には、一旦相続人全員が遺産分割協議書に署名押印して成立した遺産分割協議について、これを後から錯誤によるもので無効だと覆すことは容易なことではありません。

納得のいかない遺産分割が進んでしまいそうでしたら、早めに広島相続遺言まちかど相談室までご相談下さい。