相続お役立ち情報

委託者について

2023.04.04

委託者は、もともと財産を所有していた人です。家族信託は、信託を設定する際に定められた「信託の目的」に応じて財産の管理処分が行われますので、どのような目的を定めるかがとても重要です。

もともとの財産の所有者である委託者は、信託の目的に納得しなければ財産を信託することはないでしょうから、委託者は、信託の設定をする場面において一番の影響力を持っています。そういう意味で、委託者は最初の主役と言えます。

信託が始まってしまうと、委託者は主役の座を譲り渡すことになります。信託が始まった後に実際の財産管理をするのは受託者だからです。むしろ、「委託者が財産管理の主役にならなくてもよくなる」というのが家族信託の特徴ですので、委託者が主役の座を譲り渡すということ自体が、家族信託の目的の一つとなります。

委託者が元気なうちは、財産の管理処分について受託者に指示を出すことも可能ですが、財産を実際に管理処分するのは受託者の仕事になります。つまり、委託者の次に主役となるのが受託者です。

委託者が亡くなってしまった場合

信託契約の場合、広島等に在住している委託者が亡くなると、現状は「委託者の地位は相続される」とされています。(信託法に明確な規定がないため。)ただし、これは信託契約の中に別途定めがない場合に限りますので、もし契約の中で「委託者の地位は相続により承継しない」旨を定めておけば、相続人へ相続はされません。権利関係が複雑になることを防ぐため、この定めを設けることがあります。

また、受益者連続型信託といって、委託者謙受益者である方が死亡した場合に、第二受益者を定めておく場合には、この第二受益者の財産も信託財産へ追加できるようにするために、「委託者の地位は相続により承継せずに、受益者の地位とともに移動する」といった定めを設けることもあります。

全ては委託者のご意向次第になります。信託契約の内容を検討する際に、”委託者が亡くなった場合はどうするか”というところまで自身の考えをまとめ、契約の中で取り決めをしておくことが重要となります。何十年も先の話になるケースもありますので将来のことを考えるのは簡単なことではないかと思いますが、早い段階から少しずつ、ご家族の皆様とも相談をしながら、ご自身の考えをまとめておくと良いでしょう。

家族(民事)信託について、ご不明なことがございましたら、広島相続遺言まちかど相談室までお気軽にお問い合わせ下さい。無料相談にて対応させていただきます。